フィッティングとは何でしょうか。
フィッティングとは寸法合わせ、適合すること、ぴったり合うこと。
それでは、メガネフィッティングとは
眼鏡技術者が快適な掛け具合を調整すること。
ジーケネイズのメガネフィッティングとは
メガネのかけていることを、忘れてしまいそうなフィッティングを
すること。
それは痛みもなく、ズレもなくかけることができる快適なメガネを調整する
ことであります。
メガネはどこにかける?
フィッティングの話の前に、
我々は 『メガネをかける』 といいますが
顔にかけるんでしょうか。
頭にかけるんでしょうか。
それとも 耳にかける? 鼻にかける?
ちょっと考えてしまいます。
顔にかけるのが適切(妥当)でありましょう。
一般的に顔にかけるのが適切かも知れませんが
顔にかけるという表現(言葉)が、つるを耳にかけるものと信じて
フィッティングをしている眼鏡技術者がどれだけいるでしょうか。
大勢いるように思います。
メガネをかけている人のほとんどのかたも、
耳にかけるものと思っているのではないでしょうか。
はたしてこの 『かける』 と言う表現がフィッティング作業に
どのような影響を与えるでしょうか。
メガネは耳にかけるものと信じている多くの眼鏡技術者は
耳に引っ掛けようとフィッティングをするのではないかと
私の経験から感じたことです。
メガネは付けるもの、はめるものだと考えると
耳にかけるフィッティングが少なくなるのではと考えます.。
フィッティングはフレームの買い付けから始まる。
フィッティングはフレームを買い付るところから始まります。
意外とお思いでしょうが
調整できないフレームは名人を持ってしても
できないものはできないのです。
だから
調整できないフレームは買い付けないのです。
フィッティングができないフレームが多いなかで
買い付けで、フィッティングができるかできないか
見極める目が必要になります。
しかし、デザインに負けて失敗することもしばしば。
昨今、
販売経験のないデザイナーさんが他のブランドとの格差を意識し
デザインや材質、そして作りにこだわりすぎて調整のできないフレームを
作り続けているように思います。
また、自己満足でフレームを作り続ける厄介なデザイナーの
作ったフレームも調整できないものが多いように感じます。
我々眼鏡技術者が機能面での改善策を提案しても
全く聞く耳を持たない営業担当者がいます。
また、アドバイスをしても反論をする営業担当者もいます。
困ったものです。
これらの営業担当者の扱うブランド(フレーム)に対する情熱は
すっかりなくなってしまいます。
悲しい限りです。
価格で負けている外国物に
このままでは機能面でも確実に負けてしまうでしょう。
世界に誇る日本のメガネに危機感を覚えます。
フィッティングには、解剖学が天下分け目の・・・・・
フィッティングにおいて、解剖学が天下分け目の
技術の格差がでる学問です。
解剖学とはなんぞやと聞き返す技術者
解剖学を少しでも学んだ技術者
この違いがフィッティングの技術に大きく差が出るのです。
眼鏡技術者が快適なフィッティングをするうえで
少なからず
顔や頭の解剖学を避けて通ることはできません。
顔や頭の形態・構造・機能を学ぶと
メガネは顔にかけるというより
頭に抱き、そしてモダン(つるの先端部)で挟み込むことになります。
そうすれば快適に、
そして心地よくメガネをかけることができるのです。
決して耳にはかけない。
それならどこにかけるのか。
だからかけないのです。
かけないからといって、こめかみや耳の付け根の上を
きつく押さえつけるのは解剖学的に感心しません。
最悪のフィッティングであります。
メガネのつるを耳の後ろに当てるのではなく
添うように調整し、頭に抱くのです。
ただ抱くのではありません。
耳の後の形状を三次元で曲げて抱くのです。
この作業がフィッティングの最重要ポイントになるのです。
ノーズパッド及びモダン(つるの先端部)の当たる部分は、
毛細血管や末梢神経に当てないように避けて抱き込む、
挟み込むことが快適なフィッティングであるといえます。
一朝一夕、できるものではありません。
厄介者 セルフレーム に挑む
フィッティング調整の中でも最もてこずるのは
セルフレームです。
ノーズパッド調整が容易にできないからです。
セルフレームは一般のメガネ店で
フィッティング調整が難しく手間がかかるので
厄介者扱いされているのが現状であります。
フィッティング名人と称される技術者も
ノーズパッドの周りに自由が利かないと
あまり手をつけず避けて通ってきたセルフレーム。
厄介者のセルフレーム。
それなら自分が征服してやろうと
一念発起。
目標ができたら怖がらずセルフレームを
どんどん増やし
どんどん販売し、
どんどん自分を苦しめる。
調整がしにくく手間がかかったが
手間をかければかけるほどに
愛着が湧いてくるのです。
熱と溶液、それからヤスリと手があれば
厄介なセルフレームも自由に
操ることがでるのです。
ノーズパッド調整においても
自作ノーズパッドを作っては改良し
改善を加え製作してきました。
鼻幅の測定のために自作の測定器を作り
パッドと眼の位置関係も測定することで
鼻元直し(鼻盛り調整)が容易にできるようになりました。
通常の鼻元直し(鼻盛り)では、リムの上に載せるので
鼻幅の広いフレームではパッドが目じりの近くにまで来るので
フィッティングにおいて不適切でありました。
特に、鼻幅の広い欧米のセルフレームに関しては
適切に対処できるようになり、僅かではありますが
苦悩から開放されることになりました。
図解を入れずにここまで文章で説明してまいりましたが
少しはジーケネイズの技術が見えてきましたでしょうか。
私どもは、日本一の技術者ではありません。
フィッティング名人でもありません。
日々技術の向上に、真摯に取り組む眼鏡技術者であります。
2011/1/1
眼鏡士 小川 都志朗
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